こんばんは、次郎作こと布施田泰之です。
先日、僕はこんな記事を書きました。
小児科に進むことを決めた研修医の僕が、パトロンを募集するよ
簡単に言うと、
将来の専門科を小児科にしたことの宣言と、
参考書を読者の誰かに寄付してもらおうとした記事でした。
“amazonのほしい物リストをブログで公開すると、読者の誰かが買ってくれて家に届く”
というウソのような話を聞いたので、
手持ちのお金がなくて思うように参考書を買えていなかった僕は、
モノのためしだと思って欲しい参考書を公開してみたのです。
正直、欲しい参考書として紹介した「ネルソン小児科学」は4万円もする高額な医学書のため、
寄付してくださる人はいないと思っていましたし、いたとしてもそれは両親だろうなと思っていました笑
すると、あるコメントが記事につきました。
以下、引用
はじめまして。貴ブログを読んでいる普通のオバサンです。
決して金持ちでもなく、お金が有り余っているわけでもありませんが、がんという病を経験し(それゆえこのブログにたどり着いたわけですが)、「命には限りがあること」と「医者」「お金の使い方」が身近なものとなりました。志高い布施田さんに日本の医療の将来を託したく、一票を投じたく思いますが、ネルソンの本はレビューがあまり良くないですね。それでも良ければAmazonでオーダーします。メールで返信ください。
このコメントをみて、顔がカーッと赤くなったのを感じました。
(あぁ、なんて恥ずかしいことをしたんだ。
お金がなくて参考書が買えず勉強出来ていない、と書いたけど、本当にお金はないのか?
飲み会のお金を節約することも出来れば、クレジットカードを使って未来の自分に借金することも出来る。
そんな状況を棚に上げて、”人から恵んでもらえたらお金もかからないし勉強も出来るしラッキーだ” くらいの気持ちしかなかった。
それなのに、そんな僕に日本の医療を託したいといってお金を捻出してくれようと本気で考えてくれている人がいる)
目が覚めるような気持ちでした。
自分が勉強したくて勉強するんだ。
僕がやったことは、言ってしまえば、
「僕勉強するんです、えらいでしょ。だからお金ちょーだい」
ってことだぞ。甘えすぎだ!!!
そう感じました。
すぐに、上記のコメントには、
「お気持ちだけ受け取っておいて、参考書は自分でお金を捻出して購入して勉強します。
こんな若造に日本の医療を託したいといっていただいてありがとうございます」
というようなコメントを返していました。
それで、この一件は終わったと思っていました。
今日、amazonから荷物が届いていました。
ん?
特に何も頼んでないけどな。この前頼んだ小児薬用量の参考書はもう届いたしな。
・・・
・・・
・・・
もしや!
そう思って開封すると、
そこには紛れもなく「ネルソン小児科学」がありました。
どうやら、コメントをくださった方とはまた別の方が購入して送ってくださったようでした。
送り主は「匿名」となっていました。
ずっと欲しかった参考書を目の前にして、僕はテンションが上がりました!!!
参照する教科書がなくネットで調べてもあんまりでてこなかった内容、
具体的には、
熱性けいれんの原因遺伝子についてや、
エルシニア感染症について、
肺静脈狭窄症について、
など、いくつかの項目に関して、もくじから項目をひいては読み、項目をひいては読む、を繰り返しました。
小さいころ、
欲しかったゲームは買ってもらえなかったけど、そのゲームの攻略本を親に買ってもらえて、
食い入るように読んだ時の気持ちを思い出しました!!!
・・・
しかし、
時間がたち冷静になるにつれて、
何か心の中にもやもやがくすぶっているのを感じました。
(買ってくださった方は、おそらく僕を応援してくれて買ってくださったんだろう。
それはとても嬉しいことだ。
相手も自分の意思で買ってくれたんだろうし、僕も欲しかったけど買えなかった参考書が届き勉強できてうれしい。
お互いに、特に僕には、いいことしかないはずだ。
でも、何かが違う・・・)
しばらく、僕は自問自答しました。
そして思ったんです。
(もう僕は経済的にも自立している大人のはずだ。
勉強するからといって人からお金を恵んでもらうのは何かおかしい。
例えば、経済的に自立した大人で「勉強のために参考書買いたいから」といって両親にお金をせびっているような人を尊敬できるか?
いや、出来ない!!!)
今回、「ネルソン小児科学」を買っていただいた方には素直に感謝しようと思います。
おそらくこの記事も読んでくださっていると思います、
本当にありがとうございました。
これから先小児科医として歩む上でかけがえのない財産をいただきました、ことあるごとに参照させていただき日々精進させていただきます。
しかしながら、これ以上のほしい物リストの公開は中止にしておきます。
僕の信念に反することが、はっきり分かったからです。
勉強とは本来、贅沢品です。
本当に貧困に苦しむ人たちは、その日をどうにか生きねばならず、勉強などに興じる暇などないからです。
僕はそんな贅沢を、できる国に生まれ、両親に育てられ、環境に恵まれました。
とてもありがたいことです。
同時に、
忘れがちなことでもあります。
このことを今一度肝に銘じ、勉強に励みたいと思います。
「勉強している人はえらい」
という周りの雰囲気に酔っていたのかもしれません。
こういったことを再認識出来たという意味では、今回のことも無駄ではなかったのかな、と少しだけ前向きにとっておきます。
ちなみに・・・
4万円もするネルソン小児科学を寄付していただいて悪い気がしたので、
今日、欲しかった別の参考書を4万円分くらい買ってきました笑
寄付していただいた以上、
期待に応えて勉強することが唯一の恩返しかと思います。
たくさん読むぞ~!!!
↓読書好きな僕を、応援してください!笑
国試を来年に控えて感じたことと同じ、思いを感じられた方なんだなと今回の記事を見て感じました。
私自身も、勉強することが偉いと思っていた時期がありましたが本当はそうではないのだ、できることにこそ感謝すべきであって自分が恵まれているのだということを再認識しました。
貧困に喘ぎながらも、これでもかと思って勉強されている方もおられる中で、自分は果たしてどうなのかを感じることになりました。
今回の記事更新に感謝。